小さな数学塾 稲荷誠
- 2014/12/09 08:37
- カテゴリー:読書感想
とても良かった。ブログの文章をまとめただけのものなので、本としては読みづらい部分や、本題とは関係がない 日常の出来事なども記載がある。
だが、その脈略のない話題が、著者の人柄や価値観を知るのに役だっている。
稲荷塾のカリキュラムは、京大や東大を目指す公立に通う中学・高校生に非常に有効だと思う。
私立の中高一貫校のカリキュラムと同様に進めるので、公立の不利さを解消できる。しかも週一回なので、私立高校に通うよりずっと経済的だ。
ただ、気になる点は、著者が、カリキュラムを小学生にまで早めていっていることだ。
小学生で、中学数学をすることは、結局は一方的に教えるパターン学習になってしまい思考力を育む10~12歳の大切な時期を逃してしまうように思う。
それに、拘束時間が多く、子供に負担があるから中学受験をするな といいながら、同様の先取り学習はOK というのは、負担が少し少ない といっているだけで、負担は以前存在し続けている。(ベストではなくベターといっているだけだ。)
中学受験をするなという 代替え案としては少々物足りない。
(まー中学受験をするなというのは出版社がつけたタイトルだと思うが。)
結局は 早ければ早いほうが良いという根本的な考え方は変わっていないので、小学校低学年から著者の塾に子供を入れようと思う親が出てくると思うが、それは著者が意図している層とは微妙に異なると思うし、
その結果も、著者が意図している大きな成果は 得られないのではないかと私は思う。
それは前例があるからで、中学受験の大手塾が、小3,小4の生徒を囲い込みしたとき、結局は その生徒達は伸び悩んだ例がいくつもある
要は12歳までの教育方法と それ以降の大学までの教育方法は、基本的な部分で全く違うという 「どんぐり倶楽部」の理論に繋がるのだが・・
著者は非常に優れた教育者だと思うが、高校生の能力を伸ばすのに長けているからといって、同じ方法論が小学生には通じないというを、気づいてほしいと思った。
このカリキュラムは、著者の塾でもそうであるように、中学生2,3年で優秀となる素地がある子には、大きく可能性を伸ばせるカリキュラムだとは思うが、素地のない子が、優秀になる訳では決してないし、
著者のカリキュラムを単純理解して、早ければ早いほうが良いと、素地のない子に、小学生から中学数学を「詰め込み」教育させる親が出てくると、
害にもなってしまうので注意が必要だと思った。
私が思うに、中学生からでも京大・東大合格を目指せるカリキュラムであれば、、自信を持って「中学生以降で間に合う」としたほうがインパクトもあり、良いのでは?と思います
例外的に小学生でも、出来る子はカリキュラムに溶け込むだろうが、あくまで、そのケースは例外中の例外で、小学生までカリキュラムを早めてコース化することに、大義があるようには思えず、疑問を持たざるをえませんでした。
ここは、きっぱりと「中学生以降で」としたほうが、何年か先に出る実績としても明朗だと思います。
中学受験を全くしていない公立中学、公立高校のそこそこ優秀な生徒が、中学受験している小学生の時に優秀だった生徒を 打ち負かすことができれば・・・
これこそ画期的なカリキュラムではないでしょうか?
それなら、私も不満ないのですが・・・・。
(ただし、現実は超優秀層は、灘などに在籍している確率がとっても多いので、その優秀層に勝つのはかなり困難だと思います。それに似た層にアピールしたいから小学生コースができていると深読みしてしまうのですが・・・)
PS
著者のブログを拝見したところ、私立中学、私立高校が、大学受験の予備校化しており、大学受験が目的化しているのを危惧されていました。
この点に大いに共感を覚えましたし、塾の先生があえて言うことで 好感を覚えました。
稲荷塾のミッションが。大学受験の合格だけにフォーカスするのではなく、「世界に通用する人材」も素晴らしいです
さらに、ブログで、著者が読まれている本が、
私の好きな本と共通しており、神田昌典さん、永遠のゼロ、コヴィーの「7つの法則」・・極めつけは私の大好きな 青山繁晴さんの「ぼくらの祖国」も読まれており・・・私の父と同じ世代で、ずいぶん歳は離れているのですが、親しくなれそうな気が・・・勝手にしました。
だからこそ、小学生の教育は、中学数学を先取りさせるのではなく、
ゆっくり、じっくりと思考力を育む「どんぐり理論」を稲荷さんに知ってもらいたいと、勝手ながらに思って、好き放題書かせて頂きました事を 先にお詫びします。
私にとって、カリキュラムよりも先生の人物に惹かれましたので、
娘が中学に入ったら、お願いしようか・・とも思いました。(12年後ですが・・・・もちろん続いてますよね?)