教えない「英語教育」市川力著~英語教育の開始時期は小学4年生以降~えるようになるためには~
この前に読んだ、市川力さんの「子供に英語を教えてはいけない」があまりにも良かったので、すぐさま次作となる「教えない 英語教育」を拝読。
とは言っても、この「教えない 英語教育」も2005年発売で 現在(2015年)から10年も前に販売されている本です。
前著の「子供に英語を教えてはいけない」は、著者がアメリカで、日本人からの留学生向けの塾において、(小学生~中学生)に国語を教える12年間ほどの体験をとおして、バイリンガルになるためには、思っているほど簡単ではなく、早ければ早いほうが良いというのも、思い込みだと主張した著者が、今度は 実際に日本で大人な英語を勉強するには、どの時期か、どのようにすればいいのか、など より具体的に書いた本です。
いやー、本当に この本を読んで良かったと思いました。
この本を読んで、何が私の中で大きく変わったかというと、娘に英語教育をするのなら、具象思考から抽象思考に変わる時期 つまり、10歳からが 最適だなと思うようになりました。
私もこの本にあるように、英語教育は「早ければ早いほうが良い」「小学校低学年で留学すると、英語ペラペラになって帰ってくる」 というような幻想を持っていた1人です。
こういう価値感からなかなか抜け出せなかったんですが、この本で 完璧に 早期英語の洗脳から脱する事が出来ました・・・。
記録として、興味深い所をご紹介しますと・・・・
早期英語教育が もてはやされるのは、単語やチャンツレベルでの発語、発音が良いなど、短期間(1~2年)で、子供の変化が親に成果がわかりやすいからである。
しかし、それは 英語が出来る人からすれば、子供が使う英語にすぎない。
日本人が求められている英語の能力とは、自分の意見を主張したり、文章を読み書きしたりする能力であるはず。
「大人な英語」と表現される、この英語の能力は、母国語でも抽象思考ができる小学校4年生(10歳以降)にしかできない能力なのだから、
もちろん第二外国語の英語も、10歳以降にしか 使えるようにはならない。
では、その10歳までに出来るだけ 英語を慣らしておこうとする考え方もあるが、それが非常に難しい事。
なぜなら、子供はすぐに覚えるが、すぐに忘れるから。
そういうことを踏まえると、英語教育とは出来るだけ早くするのが大事ではなくて、10歳くらいの英語教育に一番最適な年齢まで どうやって続けるのか?という後期英語教育が 重要な事がわかってくるのだが、
早期英語教育を実践している親のほとんどが、小学校以降の英語教育については無策である事がほとんどである。
例として、3歳くらいからの早期英語教育をしていた子供が何歳くらいまで英語を続けているか というデータをとると、
小学校1年生で30人 小3で20人 小4で10人と、半減していくこと。
さらに、辞めた子でも、英語になれているから役に立つだろうと大人は考えるが、実際には逆で、英語が嫌いになっている子供が多いとの事。
そうなれば、それまでに良かれと思って親が行った早期英語教育は、多大な時間とコストをかけて、結果的に子供の英語教育に大きなマイナスを残すリスクがある。
たとえ、10歳になるまで、めでたく英語に興味を持ち続けれたとしても、
では3歳から10歳まで培った英語力と、8歳から10歳まで勉強した子と10歳時点での英語では、少しは差がでるかもしれないが、
大人な英語力は結局10歳以降にしか培う事ができないので、それまでの差はどんどん縮まってしまう事が推測される。
じゃーその少しだけの差のために、多大なコスト、多大な時間をかけて3歳から英語をして割に合いますか? いやー合わないでしょ!と主張されています。
さらにこの著者の主張で、興味を持ったのは、一見 英語ペラペラに見えても、学校の授業など 抽象化が必要な事を英語で行おうとすると、出来ない子がほとんどだそうですが、日本にいるだけでは、その違いは わからないですよね?
英語教育が成功したと言われている子供の多くは、スカイプでの英会話で 英会話できると、英語が出来るという判断が下されますが、それだけでは本当の英語力はわからないんですから。
私は英語教育で 懸念するのは、母国語が 思考能力と密接に繋がっているという事実です。
さきほどの例でも、英語では 授業が理解できなくても、日本語で出来れば問題はありません。ただ、幼少から英語ばかりしてきて、日本語の国語力も落ちているとしたら・・・・
これは本末転倒どころの騒ぎではありません。
なにより、母国語の国語力、思考能力の形成が最優先です。
いやー、私なりに本当にスッキリしました。
人間 見たいものしか見ない傾向にありますよね?私も早期英語教育を良いと 3,4年は思っておりましたので、
英語教育より「母国語の国語が優先」とする識者の意見は見たことがありましたが、何言ってるんだ?時代錯誤な意見だなと素人意見を爆発させていました。
そのときの私の論理は、「スイスやフィンランドでは3,4カ国語操るから、
思考能力に影響が出るのなら、その人達はなぜ問題でないのか?」というものでしたが、それもこの本には答えが書いてありました。
要するに、国全体が2カ国語以上の言語を使用している場合(スイスやカナダのケベック州など)は、幼少から成年になるまで、日本でバイリンガル教育を受けてるのとは比較にならないくらいに多大な時間をかけて学んでおり、必要性もある。人との意思疎通も日常的であるため、
それくらいの環境では真のバイリンガルの養成も可能であるとしている。
ただ、だからといって、日本において 同じ環境を作れるかというと、不可能だということ。インターナショナルスクールに通うとの選択肢でさえ、この環境には到底及ばず、大抵はどちらかの言語を母国語として、もう1つ(日本語)のほうは、ほとんど話さなくなってしまうか、話せても、読み書きや抽象化できる能力がないとの事でした。
いやー読んで本当に良かったです。
突然ですが、私の今となっては恥ずかしい歴史を紹介します。
娘が1歳半のときに 幼児英語で有名な ベネッセのワールドワイドキッズの申し込みをしました。
そして、それでもDVDが足りないかな??と思って、オークションで 4万円くらいの
「gogoの不思議な冒険」を落札して、スタンバっておりました。
でも、直後にどんぐり倶楽部に出会って、英語教育も否定されていたので、とりあえずは実践を辞めました。(WWKもすぐに退会、半額返金)
それでも、自分のなかで、いろいろな早期英語のブログを拝見しつつ、やったほうがいいんではないか?と思いつつ、でも確信が持てないので、子供には何もさせず、両方の主張を本を読んで、どちらの主張が自分に納得できるかな~と思いながら今日まできました。
だけど、今日を持って、自分の中で確信を持って 「早期英語教育はしない」との結論に至りました。
私のなかで、教育とは「一貫性を持たせる」事が一番重要との思いがあります。
子供は敏感で繊細です。しかし幼少期の子供は、親に反抗する術と能力を持ちません。
だから、何事も検証しないで、やみくもに子供にさせてはいけないと思っています。
無駄な事を、我が子に、時間と労力をかけてさせるわけにはいきません。
親が出来る唯一の事は子供より長く生きている分、長期的な視野にたって、
子供に正しい方向での努力を促す事だと思っています。
よくありがちな、無理矢理な勉強と勉強量だけ与えて、「出来ないのは子供の努力不足」とする親にだけはなりたくありません。
娘が成人した時に、良い子育てをしてくれた・・と思ってくれるような、、、そんな関係を目指して 頑張りたいと思います。